心に響く、母たちの優しい歌声

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11月中旬、市民プラザのイルミネーション点灯式で聴いた、美しい歌声。その歌声の正体は「ラフィネ合唱団」の賛美歌でした。

美しい歌声と、その歌に感動して涙する観客。

いったい、どんな方たちが歌っているのか気になり、取材をさせていただくことに。

今回はとても明るく、楽しい、団長の東司さんと、メンバーの三幣さんのお二方にお話を伺いました。

 

きっかけは、団長のある一言から

ーラフィネ合唱団を結成したきっかけを教えて下さい。ー

 

東司さん:私は、長女が中学生のとき、PTAの役員だったんですよ。

それで、合唱コンクールを見たときに、昔コーラスをやっていたので舞台が懐かしくなって、「あっち側(ステージ)で歌いたかった。」ってポロっと校長先生に言っちゃたの!(笑)
そしたら「来年は是非やって下さい!」と言ってくださって。

「いいんですか?本当にやっちゃいますよ?笑」って言って、始めたんですよ。

それが、保護者合唱団の誕生だったんです。

三幣さん:子ども達の合唱コンクールの最後に歌わせて頂きました。

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練習風景

 

ーメンバーはどうやって集めたのですか?ー

東司さん:それは、PTA役員の人たちと、保護者の有志を募りました。三幣さんも役員やってたし、当時、お母さん達が熱かったんだよね~。(笑)

みんなで集まって、夜遅くまで音楽室で練習してね。

最初は人数少なかったんだけど、年々増えて34人くらいいたかな?

でも、子どもが卒業すると、自分たちも卒業しちゃうでしょ。そうすると、合唱コンクールで歌えなくなっちゃうじゃないですか。

どうせなら、合唱団を立ち上げたらどうかと声が上がり、ラフィネ合唱団として、正式に立ち上げる事になったんです。

 

 

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発表風景 提供:ラフィネ合唱団

ー結成はいつですか?ー

東司さん:2011年の12月で、今年で丸4年ですね。

震災が起きた年に結成したんだよね。早いね。

三幣さん:本当に楽しくやっているせいか早いです。2年に一度、羽生市産業文化ホールの小ホールでコンサートを2回開きました。

 

ー今は何人ですか?ー

東司さん:今は25人ですね。

三幣さん:当初は18、19人くらいだったかな?

東司さん:もとはPTAだけど、年数が経つうちに、私達のコンサートを聴いて一緒に歌いたいと入ってくれた人もいて。

 

それぞれの得意分野で、惜しげも無く能力を発揮

三幣さん:みんな得意分野が違っていて、HPは団員が作ってくれました。活動報告のコンサートの感想は交替で団員が書いてくれたり。
他にもコサージュを作る人は、一晩で25人分ばーっと作ってきて、「はい、これ着けて!」って。X’masコンサートの飾り付けも団員の手作りだったんです。

惜しげも無く自分の能力を発揮してくれて、みんな面倒見がいいし、優しいし、なんと言ってもみんな仲良しですね。

東司さん:そうだね、みんな「なんとかしてやろう!」っていうお母ちゃん達の底力があるよね。
大きなコンサートは、ご主人や子どもたちまで巻き込んで、コンサートを成功する事が出来ました。ラフィネ合唱団は多くの人に支えられているんですよ。

 

母親として伝えたいメッセージ

ー主にどんな曲を歌っているのですか?ー

東司さん:私たちは、主にJ-popを歌ってますね。アンジェラアキさんの「手紙」とか、中島みゆきさんの「糸」とか、小田和正さんの「言葉にできない」とかね。

 

ーそのとき流行ってたりとか、みんながいいなって思うものですか?ー

三幣さん:そうですね。もう60曲くらいレパートリーがあるかも知れません。

 

ー必ず歌う曲とかありますか?ー

三幣さん:必ず歌うのが、「故郷」ですね。

東司さん:コンサートの一番最後、会場のみなさんと一緒に、東日本大震災の被災地の一日も早い復興を願いながら歌います。

三幣さん:「いのちの歌」もですね!年齢、男女問わず、誰もが感動してくれている気がします。

 

ーもとがお母さんたちで結成されているので、そこがテーマというかポイントなんですかね?ー

三幣さん:そうですね、命を大事にして欲しいという強い思いがあります。

東司さん:私たちが歌うのは、メッセージソングが多いんですよね。
いのちの歌は「命が継がれていく」という歌詞に深さがあり、途絶えてはいけない繋がり、命の大切さ、そして人々との出会いへの感謝を歌っている素晴らしい楽曲なんです。これからも歌い続けたい一曲であり、子どもたちに聴いて欲しい曲でもあります。

 

コーラス×地域イベントで羽生を盛り上げる!

ー街との繋がりというのは、どのようにお考えですか?ー

東司さん:そうですね、市民プラザ前のイルミネーション点灯式の時に歌ったんですが、それもお話を頂いたときなんか、「街の人たちが望んでいるなら、羽生の為になるんだったら。」という思いで、出させてもらいましたね。

ワークヒルズのお祭り、キヤッセのクラフトビアフェスティバル、村君のお祭りとかにも出させて頂きました。

私、そこで、何も考えていかないでMCするんですよ。でもね「こういう地域のお祭り、すごいですね!」って言葉が出てくる様な、本当に温かいお祭りだったんだよね。ずっとこのお祭りを残して欲しいなって気持ちが溢れてきたんですよね。

すごく良いところがいっぱいある羽生の素晴らしい行事を、知らない人もいっぱいいるじゃないですか。だから、それをコンサートを通じて上手く伝えていけたらいいなと思いますね。

三幣さん:あと、イオンでも歌いましたね。キャラクター推進室の方に呼んで頂いて、世界キャラクターさみっとの「100日前さみっと」でした。少しでも街のPRになれば嬉しいです。

 

ー街との関わりは、もうがっつりありますね(笑)ただ、また知らない方も多いと思うので、ラフィネの活動を多くの人に知ってもらいたいですね。ー

東司さん:そうですね。私たちはJ-POPを歌っているので、聞き覚えがあって、みんな楽しめるのかも知れません。

三幣さん:ワークヒルズでお酒を出したクリスマスコンサートでは、130人くらい来てくれました。あんなにたくさんの方々が来てくれると思わなかったので、ビックリでした。

東司さん:それも埼玉のワイン、埼玉の日本酒、埼玉のビールを出したんだよね。

三幣さん:そうそう、東亜酒造さんのお酒もね。美味しそうに皆さん飲んでくれて。

そこで、”ウイスキーがお好きでしょ”を歌ったら、「やられたよ~、あれで酔っちゃたよ~。」って言われました。(笑)

東司さん:それと、X’masコンサートの当日が、たまたま団員のお舅さんのお誕生日で、サプライズでケーキを用意したんだよね。みんなでハッピーバースデイの歌のプレゼントをしたの。そしたら、そのお舅さん、感無量で「こんな素晴らしい誕生日迎えさせてくれてありがとう。」って。

三幣さん:本当にアットホームでいい感じだったよね。まさに手作りコンサートでした。

東司さん:団員は家族の理解があって、歌っていられる事に感謝しているんです。だから、自然とそんなサプライズが出来るのも、日頃の感謝の現れなのかも知れませんね。そんな私達の歌を一人でも多くの人に聴いてもらいたいですね。

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発表風景2 提供:ラフィネ合唱団

 

ー陸前高田市にボランティアで行かれたんですよね?ー

東司さん:そう、農業支援で行ったんですよ。

それはね、三幣さんから「私たちは震災のあった年からやってるって言ってるわりに、全くボランティアやってないよね?」って言われたことがきっかけで。

三幣さん:そしたら、東司さんも全く同じこと考えてたんだよね。

東司さん:そう、私もずっとそう思ってて。そしたら、他のメンバーもそう思ってたんだよね。

「そうだよな、なんか悪いよな」って。偽善者っぽいのが嫌だなって。

それじゃあ、実際やってこようよ、見てこようよって。

福島県金山町の老人ホームへ歌のボランティアにも行きました。

老人ホームで歌った時は、最初は、無口というか口をつぐんでいた、おばあちゃんたちが歌い終える頃には、涙、涙で私達も感動して泣いてしまいました。

 

三幣さん:でね、羽生の商工まつりに毎年おそばを打ちに来てたおばあちゃまがいて。「脚が悪くなって、羽生に行けなくなっちゃったんだよ。」って。「よく羽生から来てくれました。」って泣いちゃって。ああ、来て良かったなあと思いました。

東司さん:うん、みんな泣いてたよね。みんなが”ふるさと”を口ずさんでたよね。
おじいちゃん、おばあちゃんが笑顔になってくれて、歌ってすごいなと思えました。ボランティアも続けていこうと思っています。

 

みんなの生きがいであり、主婦が輝ける場所

三幣さん:コンサートで16曲暗譜したとき、「絶対無理だよ。」ってみんなで言ってたんだけど、結局出来たんだよね。

それが自信になったんですね。「やれば出来るんだ。」って。あれから、みんなも少し変わった気がします。

東司さん:主婦になると、なかなか輝けないでしょ。

三幣さん:そこまで、自分を追い込まないじゃないですか、忙しさで。勉強するわけでは無いし、プライベートで追い込むってなかなかないので、ちょっと成長できたかなって。いち主婦が16曲も暗記できた!って。そういう嬉しさがありますね。

 

ー趣味のサークルの枠を超えてますね(笑)ー

東司さん:本気だよね、みんな(笑)徹底して音取って来るしね。

三幣さん:団長も指導するとき厳しいしね(笑)
メンバーに音大出身でピアニストを目指していた方がいるんですけど、子どもを産んで、母親として地域と関わったり、みんなと一緒にやるようになったら、「ピアニストを目指して何時間も練習しても出なかった音が、出るようになったの!」って言ってました。

人間としての経験とかで、音も変わってくるんだなーって、思いました。そういうこともあるんですね。

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三幣さん:あと、いち主婦が味わえない感動を味わってるかなと思います。

東司さん:ドキドキ感もあるよね。舞台に立って緊張したり、そういうのってなかなか主婦になると経験できないと思うんです。

さっき言った、ピアニストのお母さんはお子さんが8人いるのね。たぶん、8人育ててるうちに、その人の人生って終わっちゃうと思うんですよ。でも育ててる中で、ピアニストとして、また輝けたってすごいことで、感動してましたね。

三幣さん:なんかね、子どもと長く一緒にいることだけが教育じゃないのかな。って。自分がストレス溜まってると、イライラして怒っちゃうし。

自分も楽しい時間過ごして来たから、帰って来たら今度は家族の為に優しくなれるというか。
都合のいい解釈ですね。(笑)

東司さん:うん、親が輝いてると子どもも見てるよね。娘には「楽しんでるよね~人生」とか言われるし(笑)子ども達にも背中を押してもらえるんだよね。

 

ーお子さんもお母さんが楽しんでた方が嬉しいですよね。ー

三幣さん:そうだね、お母さんが疲れてイライラしてるよりは良いよね。

東司さん:やっぱり歌って帰ると元気なんだよね。

三幣さん:難しいところが歌えたじゃん!とか。前向きになれる。

東司さん:あと、合わせた時のハモリね。あれはたまらないですよね。

 

歌っている場合じゃない!そんな時こそ歌が必要だと実感

ーラフィネのみなさんの共通した思い、目的はありますか?ー

東司さん:2年前のコンサート直前に団員の一人が、大病を患い、歌っている場合じゃなかったはずなのに、一緒に歌おうと思いきって出演してくれました。すると彼女の口から「戻ってくる場所があって良かった、勇気が出た」と言ってくれました。

震災ももちろん、歌ってる場合じゃないんだけど、そのときに何から力をもらったかっていうと、昔懐かしい歌だったり、歌手が来てくれて歌ってくれたことで、元気が出たり、感動して泣くことで、元気になったりね。

 

三幣さん:泣くことで、浄化されるのかもしれないよね。

東司さん:歌を聴きに来れる人って幸せだと思うけど、もしかして心のどこかに凄く辛いものもっていて、歌を聴いてる場合じゃないのにって来ている人もいるかもしれない。そういう状況の人がいたら、ラフィネの歌で、少しでも元気になってくれれば良いなと思ってます。

 

三幣さん:うん、少しでも元気になって欲しいよね。

東司さん:歌には凄い力があるんですよね。でも歌ってる側も真剣にやらないと、それは伝わらないんですよ。

歌詞を伝えようっていうのがまずありますね。なので、常に笑顔で歌うということを意識してますね。

 

ー今後の活動、目標などありますか?ー

東司さん:そうですね、J-popを中心に歌うんですけど、ちょっと難しい曲にも挑戦しようか。って話にもなってます。

やっぱり上手くなるには、難易度の高い曲に挑戦したいと思っています。高田三郎の”水のいのち”とか、オーケストラのように歌うアカペラとか、一年二年かかってもいいから難しい曲をやりたいなって。私たちね、最初は絶対無理って言われてた難しい曲をやったんだけど、なんとか出来ちゃったのね(笑)

三幣さん:そうそう、アメージンググレイスやハレルヤ、いのちの歌ね。

東司さん:だから難しい曲も絶対出来ると信じています。ボランティアも続けていこうと思っているんです。

 

三幣さん:毎日が青春だと思っている私たちですが(笑)、今青春まっただ中の若い人たちにも聴いてもらうことが目標です。ゲームやスマホではなく、心を鍛えて欲しいんです。

東司さん:そう、私達ラフィネ合唱団は、ただ今青春!?まっただ中にいます!
夢は、NHK紅白にバックコーラスで出演することなんですよ!(笑)

 

後記

パワフルで明るいお二人のお話を聴いているだけで、こちらも元気をもらいました。
練習風景の撮影の際には、「いのちの歌」など、私たちの為だけに歌ってくださり、生き生きとした迫力のある歌声と、お母さん達の優しさが伝わってくる素晴らしい合唱でした。

美しい歌声はもちろん、全力で楽しみながら、真剣に取り組む姿が聴衆の心を打つのかもしれません。
次回のコンサートは未定とのことですが、機会があれば是非一度ラフィネ合唱団の歌声をお聴き下さい。

 

ラフィネ合唱団ホームページ
http://chorus-raffine.velvet.jp/index.html

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