酒造りからなる地域貢献

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寛永二年(1625年)に秩父で酒造りをはじめた東亜酒造。

昭和16年から羽生に本社を移し、以来74年間、羽生市でお酒を造り続け、地域産業を長く担っている会社です。

今回は、普段は知ることができない蔵や生産ラインの見学をさせて頂き、普段なかなか見ることの出来ない社内を取材してきました。

生産管理課リーダー 秋野さん

専務取締役 赤堀さん

生産管理課マネージャー 島崎さん

生産管理課マネージャー 島崎さん

馴染みの光景も別空間

羽生に住んでいても、敷地の中まで見る機会はないので、工場を見学させて頂きとても勉強になりました。外側の通りから大きなタンクが見えていたのが、何なのか気になっていたのですが、今日やっとわかりました。

赤堀さん:暑い中の見学で大変だったかと思います。タンクにはアルコール類が貯蔵してあります。まだまだ数的には足らないのですが、外観から見た感じと、実際中の状態を見られたというところでの感想がちょっと違うと思うんですよね。外側からみただけの状況では、なかなかわかりにくいかもしれませんね。

工場内の生産ライン

工場内の生産ライン

商品の最終的な品質チェックは人の目で行われていました。

商品の最終的な品質チェックは人の目で行われていました。


東亜酒造の特色、理念や大切にしていることは、どのようなことですか。

赤堀さん:こちらにスローガンがあるのですが、毎朝、社員全員で唱和しております。

やはり企業なので利益を上げるというのは、大きな前提なのですが収益を上げながらそれを地域の方々に、あるいは世の中に還元していくということを考えております。

商品開発への取り組み

様々な商品がありますね。パウチパックのお酒を始められたそうですが、羽生市のキャラクター「ムジナもん」のデザインもありますね。

赤堀さん : 様々なプライベートブランドというものも、実はたくさん作っております。

パウチの生産ラインは、昨年の3月に導入しました。羽生市で酒を製造してる我々として、地域に関わるという点で、何ができるかと考えたところ、最初に思いついたのがキャラクターをデザインした商品を作りでした。羽生ではキャラクターサミットが地域起こしの大きなイベントになってますよね。ですので、コラボ商品をイベントと同時に出すことで、少しでも関心を持っていただければなと思い、地域のキャラクターを使わせて頂いています。

ムジナもんの梅酒パウチの他に、パイナップルリキュールとして、アロハガスのキャラクターともコラボさせて頂いています。

 

かわいらしくて、女性も飲みやすそうですね。持ち運びもしやすそうですし、アウトドアなどにも便利ですね。

赤堀さん:そうですね。あとこのパウチ自体にも、特徴があるんですよ。普通のパウチは中身が減るごとに、ちょっと縒れてしまうんですよね。ですが、このパウチは、端の所に自立できるように空気が入っているエアーポケットがあり、倒れないような構造になっているんです。

それと、ゴミによる環境問題や、空いた容器を処理する手間を省こうという、現代の社会性も考えて、この様なパウチが新しい容器として受け入れられればと思い、商品を開発しました。

こういった商品の開発や、味の決め方はどのようにされているのですか。

島崎さん:お客様が望まれているものをということで、意見をお聞きして作るというのが基本になりますね。試飲などをして、一番最初のものは程遠いものになったりもしますが、そこでしっかりと意見をとりながら作り上げていく、というのが基本的な作り方になってます。

例えば、こちらのパウチ商品ですと、お酒に親しみがある方もない方も広く飲んで頂きたいので、そういった意味では、広く意見を集めるようにしています。アドバイスとしては資格をもった方の具体的な意見が非常に参考になるのですが、様々な人の感覚と意見を取り入れています。

酒造だからこそ出来る、地域貢献

創業1625年ですが、2004年に日の出みりんで有名なキング醸造のグループ企業として新たにスタートされたことかと思います。どのように地域との関わりをお考えですか。

赤堀さん:源流というところでは400年近くの歴史がありますね。この羽生に構えたのは昭和16年で、羽生という地域との関わりは昭和16年以降の話になりますが、我々としても、やはり羽生でお手伝いができるところあるのではと考えています。

ひとつは自然災害等で大きな地域の被害が発生しているところがありますよね。直近で言えば東日本大震災です。我々の会社としては、何ができるのかということを社内で考えました。まず水道が止まった場合、我々が備蓄しているものを提供できるのではないかということ。あと米も飯米ではないんですけれども、炊き出しをすることによって、食料の供給ができないか。炊き出しのセットを準備して。今は、大気の問題だけでなく、ガスを燃料にした炊き出しに向け、重油からガスボイラーに変えて、ガスを貯蔵できるようにました。あるいは、人的なところで、救急救命ですね。今は、社員の半数以上が救急救命の訓練を受けています。幸いにも具体的にそういった事例がないのですが、準備だけは少しずつでもしていこうかなと思っています。

社内で行われた救急救命講習の様子。

社内で行われた救急救命講習の様子。

自分の住んでいる街ですが、今回伺ってお話を聞かなかったら、全く知りませんでした。

赤堀さん : また、この地域には、農業生産者がたくさんいらっしゃいますよね。今、TPPなど海外との関税の問題もあって、国内の農業生産者が厳しくなる中で、酒造に何ができるのかということを考えると、やはりお米ですよね。地域で作ったお米でお酒を造る。これは、まだ手がけてはいないのですが、今年出来上がったお米、羽生産米を使った清酒を考えております。それは具体的に地域の生産者の方と接触しておりまして、とりあえず試験的に飯米を使ったもので清酒をつくりましょう。ということで、地産地消ということを計画しています。さらに言えば、特産物などともコラボも出来ればと思っております。生産者の方が独自に商品を販売するというと、なかなか難しいところもあると思いますが、我々のもつ人材と生産者の方が協力し合えば、ものを売ることは可能だとは思うんですよね。

人が自然と繋がる環境。キーワードは、ノリとマンパワー!

地産地消、地域の人々と深い関わりがないと実現出来ないことですよね。

赤堀さん:そうですね。色々な人と繋がっていかないことには、いきなり仕事のお話しようとしても、難しいんですよね。ですから、こういうのは、「ノリ」の世界といいますか、勢いづいてやっていく、という。単に構えてモノを作っていくだけではなかなか、物事って簡単に進まないじゃないですか。そこに様々な人が絡んでいって、盛り上がって、ノリでやっちゃおう。というところで、何か新しい自信みたいなものや、希望みたいなものが湧いてくるのかなって気がしますよね。

そう思いませんか?笑

HANEやこのWebマガジンも近いかもしれません、笑

赤堀さん:そんなもんですよね。意外と頭で考え過ぎると出来ないんですけど、マンパワーでやっちゃおう!という方が上手くいったりしますよね。まずはスタートして、それから回を重ねて充実させていけば、いいのかなって思うんですけどね。反省も含めて。その時は、我々のお酒を飲んでいただいて、笑

例えば、難しいとは思いますが、商店街で朝市のようなものをやったり、意外性のあるものや、会話が生まれるような、お互いの人間性が感じるような、ふれあいの場が今後出来たら、個人的に嬉しいですね。

関西にいたときの話ですが、親戚の持ってる土地で、我々同世代が何人か集まって、竹の子を採りをしてたんです。遊びでね。

そこに物置を置いて道具を貯蔵したり、バーベーキューの道具を置いたりしていたんですけど、段々人が集まってきて。

最終的に地域の方に開放して、畑を作ったり。竹の子を炭で焼いてしょうゆをかけたり。やっぱりその瞬間が楽しいでしょ。自然と人が集まる場所になりましたよ。そういう集まりがこの地域でもできたら楽しいですよね。

後記

今回は、専務取締役の赤堀さん、生産管理課マネージャーの島崎さん、生産管理課リーダーの秋野さんにお話を伺いました。

 地元の企業でしたが、災害時のお話など地域の人々のことを考えてくださっていることを知り、とても驚き感動しました。

取材の後半ではノリとマンパワーというお話からも、羽生だけでなく、関西ご出身の赤堀さんのお人柄が伝わってくる豊かなお話が聞けました。

是非、東亜酒造のお酒で人との集まりを作ってみてはいかがでしょうか。充実した楽しい時間だけでなく、思いもしなかった何かが新しくスタートできるのではないでしょうか。

東亜酒造Webページはこちら
http://www.toashuzo.com

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