朝食に出されたトーストやヨーグルト、スイーツのお供に欠かせないのがブルーベリー。鮮やかな赤紫色と甘酸っぱい酸味は、味覚だけでなく、視覚をも楽しませてくれます。そんな魅惑の果実、ブルーベリーを羽生市でも生産しているということをご存知ですか?今回は、ブルーベリー研究会会長の渡辺さんにお話を伺ってきました。
手探りで始めたブルーベリー作り
ブルーベリー研究会が発足されたきっかけを教えて下さい。
渡辺さん−きっかけは、羽生市で募集していたのが始まりです。農政課の人から「やってみませんか?」と声を掛けられて…。
元々、現羽生市長の河田市長が新しい農作物として、ブルーベリーを取り上げていきたい。
との意向から募集が始まったようです。
それまではブルーベリーを作られていたという訳ではないんですね?
渡辺さん−何本かは植えてあったんですが、本格的にはやっていませんでした。
研究会会員の大谷さんが一番早くに取り組まれたんです。その後に、村田さん、三番目にうち、という感じですかね。
研究会のメンバーは8人で、企業が2件入っています。むさしの村の北側にある「わくわくファーム」、キヤッセ羽生の農園「羽生の里」で構成しています。
ブルーベリー研究会のメンバーはどのように構成されたのですか?
渡辺さん−市の農政課職員の方の協力で構成されました。元々、うちはキヤッセに野菜を出荷していたんです。そういうご縁もあって、先にも申し上げましたが、声を掛けて頂いたという感じです。会員の方々も、私と同じようにお声を掛けていただいたという感じですね。
研究会は、どのようなペースで活動されているのですか。
渡辺さん−原則は、毎月一回の定例会という形です。だけど、実際は、しょっちゅう集まってます(笑)。
定例会ではどのような活動をしているのですか。
渡辺さん−状況報告や栽培管理、「作ったブルーベリーを東京に売ろう!!」ということで市場シェアをどう展開していくか、など一生懸命話合っています。
東京に出荷すれば、羽生産として市の認知度も上がりますね。
渡辺さん−そうですね。始めは趣味で始めたようなところがあったんですが、今年で4年目になり、本格的に売り出して行きたいなと思っています。
美味しいブルーベリーを作りたい一心から
ブルーベリーを育てるにあたり、難しいことやこだわりをお聞かせください。
渡辺さん‐一番のこだわりは、後から始めたということで大粒を育てていきたいということです。難しいところは、肥料の分量ですかね。与えすぎてもダメだし…。それから土地。土地を酸性にしなくてはいけないんです。
土地を酸性にするにはどうしたらいいんですか?
渡辺さん−土地は雨が降ると段々と酸性になります。普通、野菜を作る場合などは、石灰をいれて酸性を中和するんです。
ブルーベリーの場合は酸性の土地を好む植物ですから、雨が降れば土地は自然に酸性になりますよね。しかし、雨の力による酸性だけでは足りないので、硫黄の粉を使って更に酸性化させていきます。
ブルーベリーは様々な種類がありますが、種類によって育て方が違うんですか?
渡辺さん−ハイブッシュ系統は酸性が強い方がいいですね。ラビットアイという種は、そこまで酸性が強くなくても大丈夫です。正直、ハイブッシュ系の方は、実が大きく、実るのも早い、そして、おいしい。ということで、高く売れるんです。だけどラビットアイの方は収量が多くなり、品種によってはかなり大粒になります。収穫期間も長いので、これからはラビットアイの品種を主に育てていきたいです。ホームセンターなどで売られている品種は、大体、ハイブッシュ・サザンハイブッシュ・ラビットアイの三系統です。
収穫の時期はいつ頃ですか?
渡辺さん−ハイブッシュは、時期が早くてだいたい6月の中旬くらいです。今年は、好天に恵まれ、6月の初旬の頃から収穫が始まりました。ハイブッシュは、6月中には収穫が終わります。
果物はたいてい完熟前に収穫して出荷するのが一般的ですが、ブルーベリーの場合は早く収穫してしまうと他の果物よりも酸味が残ってしまうんです。
完熟で収穫・出荷することがブルーベリーにとってはとても大切なんです。
お話を聞いていると、ブルベーリーにとてもお詳しいのですが、どのように知識を得たのですか?
渡辺さん−本を色々読みました。その他にも農林振興センターという県が運営している組織があります。そこで以前働いていた方が定年を迎え、現在は市の農政課の委託職員として、指導に来て下さり、直接勉強させて頂いています。
教えます!おいしいブルーベリーの食べ方
ブルーベリージャムやブルーベリーソースを販売されていますが、ブルーベリーのおいしい食べ方はありますか?
渡辺さん−ブルーベリーは生でそのまま食べる時は、一粒ずつ食べるのではなく、5、6粒をいっぺんに頬張って食べて頂きたいです。どうしても完熟度にばらつきがあるので、酸味や甘味に違いが出てしまいます。いっぺんに食べることで平均した酸味と甘味を味わうことができます。是非、みなさまにはこうして食べて頂きたいです。
いいものを使っていいものを
今後は、ブルーベリー畑を広くしていく予定ですか。
渡辺さん−現在は、ブルーベリー以外にも様々な農作物を作っているので、今後はその面積をブルーベリーだけにしていこうかなと考えています。様々な種類の農作物を作るのは、結構骨の折れる仕事なんですよ(笑)。
今後は、農地面積の拡大とともに、研究会にも若手の作り手を増やしていきたいという気持ちもあります。人数が増えれば、生産量も少しずつ増えると思います。いいものを作りたい。という気持ちがあるので、量はたくさん作れないけど、質にはとことんこだわりたいというスタンスで生産していきたいと思ってます。
後 記
今回のインタビューを通じて感じたことはまさに「作り手の愛と熱意」。
おいしいものを提供したいという思いを強く感じました。私たちも、渡辺さんの作った生のブルーベリーや加工を施したジャム、和菓子を頂きましたが、どれをとっても非常においしかったです。市内の方も、市外の方も是非一度ご賞味ください。
〈取り扱い店舗〉
*生での出荷は6月頃。以下はジャムなど加工品の取り扱い店です。
キヤッセ羽生 〒348-0011 埼玉県羽生市三田ケ谷1725
道の駅 はにゅう 〒348-0041 埼玉県羽生市上新郷7066
まつのや 〒348–0058 埼玉県羽生市中央4–8–19
アトリエ オレンジベル 〒348−0044 埼玉県羽生市上岩瀬1553−1