ふるさとの味の作り方。地域を生かした和菓子づくり

ふるさとを感じるときとは、どんなときでしょうか。懐かしい風景や、言葉のイントネーションだけでなく、味も大きな要素ですよね。地域には伝統料理も多くありますが、帰省すると最初にすぐに出された和菓子から、なんとなくホッと帰った気持ちになれる方も多いのではないでしょうか。
その「なんとなく」に隠された、味の違いを探して今回、羽生市の羽生城のなごり、城橋近くの通りにあるお店「まつのや」さんを取材しました。「まつのや」さんは、地域の特産「いがまん」をはじめ、アニメ「日本昔ばなし」にもなった羽生市の「まわり地蔵」がモチーフの最中など地域の和菓子を作っています。ぜひお読みください。

慶応元年に始まり六代目。新たな店作り。

12108251_888201464598860_4462760662522741594_n

「まつのや」さんの歴史や成り立ちなど教えていただけますか

五月女さん:「うちはもう店の創業が慶応元年なんですよ。もともとが、昔は結婚式というか砂糖のお菓子、引き菓子というのから始まって、今の和菓子屋の感覚とはちょっと違ってくるんですけど、卸が主体だったんです。そこから始まって、今の店で売る形は、20年くらいかな。昔は和菓子屋というと、多くが注文で冠婚葬祭というのがもともとの流れだったから。」

慶応というのはすごいですね。何代目になられるんですか。
五月女さん:「自分で六代目になるんですよ。俺が42歳なので、修行に出て、帰って来てですね。17年目ですね。」

12109110_888200847932255_6734051896614530180_n

お店にあった大臣賞の表彰盾。


修行というのは、どちらでしょうか。また最初から継ごうと思ったのでしょうか。

五月女さん:「修行の場所は桶川ですね。埼玉県の桶川市、そのあと手伝いにいったりなど色々な経験をして。なぜ継ごうと思ったかは、笑。うーん。もともと、高校生の頃などなにかやりたいことがあったわけではないのですが、卒業後、2年間、専門学校、菓子作りのですね。に行って。その時は、友達作りとか、そういうことが目的で、それで勤めてみてから、そのあたりから継いでみたいな。と思うようになりました。」


お勤めになられたときに、そう感じたのですね

五月女さん:「そうですね。和洋菓子から、和菓子部門に入って、家に入ったという経緯があって。今に至るという。」

 

味を引き継ぎ、羽生産の素材で自分が納得するものを。

商品のこだわりや、理念をお聞かせください。

12143106_888203477931992_9214370100210741960_n五月女さん:「製品でいうと、最近はブルーベリーもそうなんですけど、地元のものを使っているというのが多いんですよ。あとは、饅頭であれば、餡子と皮があれば、餡子に合う皮も違ってくると思うんですよ。餡子も何種類も使って、それぞれに合ったものを使いたいな、と。それは、他のお店と違うことがしたいというのが大きな前提です。理念は、売れればよいというモノではない、、、自分が伝えたいものをつくろう、と。最終的には自分で気に入ったもの。それを売ることが、一番お客さんを裏切らないと思ってます。」

自分が納得するものですね。いま、美味しそうな商品がたくさんあるのですが、笑。中でも一番のこだわりや、お勧めはなんでしょうか。
12096072_888183501267323_4922389581065007764_n
五月女さん:「最近、栗蒸し羊羹ですかね。配合はずっと変えてないんですが、サイズ小さく分けたところ、みなさんに買っていただけて。こだわりで言えば、いがまんなど、小豆を変えてやってみたり。これ(水饅頭)と、いが饅頭の餡子は違うんですよ。水饅頭のほうは、豆の渋を徹底的に落としたものにしています。栗蒸し羊羹はなめらかなもので、、なんていったらいいか。本当に美味しいものは豆の風味と、甘さのバランスで。最中なんかは、米飴っていうものでコクをだすんです。例えば鰻屋さんなどが、タレにこれを使っていて。これがこの最中のこだわりかな。ひとつひとつ合うものが違うんですよね。こし、粒合わせると。8種類くらい使っていて。あとは、うるち米も羽生産で、苺大福の苺も羽生産に切り替えて7年目になりました。」

今、羽生産なのが、うるち米と、苺、ブルーベリーと、
五月女さん:「あと、モロヘイヤですね。モロヘイヤはドーナツという形で最初やらせてもらいました。今は、ブルーベリー、苺、ですね。米は、上新粉っていう粉を普通、仕入れるんですけど、家でうるち米から、自家製粉にしています。」
そこをもっと知ってもらいたいですよね。
五月女さん:「そうですね!さらに美味しいものを作るように努力すれば、もっと知ってもらえる機会があるかと。」

昔から置いてある商品はありますか。
五月女さん:「落雁とか。あのちょっと堅い、笑。あとはあんびん餅とかですね。赤飯では、うちの親父(先代)のやり方と、修行中に覚えたやり方が違っていたんですよね。それで、そのやり方っていうのに疑問があったんですが、親父がやっている方がひと手間多い分、赤飯がほぐれるんですよ。それで、親父のやり方を引き継ぎました。」

 

新しいふるさとを目指して

お店から、街を見ていてどのように感じますか。こういういい所や街に今後、こうなって欲しいなど
五月女さん:「希望を言えば、みなさんがやられているデザインを取り入れたり。和菓子屋って感じになると、講習会にいったり(講師として)してるんですけど、和菓子っていうものが無くならないように違う方法でも伝えないと、という思いがあります。自分でも、自分は、もう古いって思いながらも、笑」

いえいえそんな!
五月女さん:「あとは自分は和でやってるんですけど、若い人が出れる環境になってくれるのが願いですね。商工会なども発展していくのでは、と思っています。あと、今やっている農商連携みたいな、農業と商業が仲良く繋がっていけばいいな。というのはあります。風景でいえば、みなさんのデザインで、笑。そういう風に、なって行けば。最終的には、自分にとってのよいふるさとができたらいいと思っています。今の小さい子が育った時にもね。」
12112247_888202224598784_2370264264512623886_n

 

後記

素材まで地域のものを使っているのは、驚きました。改めて「まつのや」さんのお菓子を頂くと、羽生産のうるち米のモチモチした触感や、ブルーベリーの決めの細かさなど、ここにしかない美味しさですね。また、まつの屋さんでは新たな和菓子がどんどん作られるのも特徴。未来のふるさとの味を感じることができるかも。ぜひ、お店へ。

 

「まつのや」

【住所】
〒348-0058 埼玉県羽生市中央4−8−19
【電話】

048−561−0242

【最寄り駅からのアクセス】
◆東武伊勢崎線/秩父鉄道 羽生駅から徒歩約777m

【営業時間】
AM9:00〜PM6:00(月、火曜定休日)

【備考】

記事のお話にもあったお赤飯のご注文もできるそうです。お祝い事に!

埼玉県羽生市中央4−8−19
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です